50代のプチFIRE計画

早期退職

早期退職~停年から年金受給までの経済的自立を計画

 欧米のミレニアル世代のムーブメントであるFIRE(Financial Independence Retire Early:経済的自立早期退職)ですが、株式のインデックスファンドに投資して元本を取り崩さずにその利回りで生活することを指します。

 総務省の調査(2019年)では1世帯あたりの平均支出は約25万円、年間300万円です。これにFIREの目安である25倍を掛けると約7,500万円となり、子供の教育費+家のローンを完済したあとにとても貯められる金額ではありません。
 しかし日本の場合には少し条件が異なります。
FIREの想定利回りは4%が前提ですが、これはアメリカのS&P500の成長率7%からインフレ率3%を差し引いたものです。日本ではデフレが続いていますから、米国のインフレ率は直接の影響はありません。ほぼ丸々運用益です。
また、FIREは20代30代の方が年間200万円以上の運用益を目指すものですが、日本の50代のサラリーマンにとっては別の戦略を取ることで目標を達成できそうです。

 サラリーマンならば厚生年金を含む年金が65歳から支給されます。
数年前になりますが、財務省が発表した「不足する老後資金は2千万円」と発表して大騒ぎになりました。これは逆に言えば、65歳時点で2千万円を確保できればよいわけです。
サラリーマンには退職金がありますので、それをリタイア後の資金に極力振り分けることができればそれ以前の貯蓄、運用で達成可能なように思えます。
私の場合、退職金と企業型確定拠出年金を65歳まで手を付けないことにしました。もちろんこうした資金はインデックスファンドなどで引き続き運用していきます。

 早期退職作戦を練るにはその前段階として、1)住宅ローン返済と、2)子供の教育費、このふたつをクリアしておく必要があります。幸いこれまで貯蓄はせずに積極的に繰り上げ返済してきたので50代前半で住宅ローンは完済しました。子供の教育費は大学卒業までの学費は別枠にしてきました。
条件が揃ったところで、いよいよ作戦立案です。

とりあえず手を付けられる、しかも早い時期からやった方がいいのは家計の最適化です。
携帯電話を格安プランに変更する、電気契約の見直し、新聞は取らないなど、ちょっとの手間ですぐに2万円くらいは生活の質を下げずにコスト削減ができました。
目標は夫婦の年金支給月額以内に収まるような生活です。
これは別ページで詳しく説明しますが、毎月の支出をモニターしつつ基礎的生活費を目標に近づけていきました。

この作戦を決行するX Dayをいつにするかを検討します。現在の資産から企業型確定拠出年金は除外します。受け取る予定の退職金も同様です。残った資産と、退職までに稼ぐお金の合計が、退職した翌月から年金受給までの月数x基礎的生活費を超えれば、それ以後はいつでも退職できることになります。

以上が早期退職作戦の概略ですが、「会社を辞めたい」という主観的な思いが強すぎると、早まってしまうかもしれません。そこで、「いまの仕事」・「希望する働き方」を「自分の人生」のなかで客観的に俯瞰してみました。
生活するためにはお金が必要です。そのために働きに行って賃金を得ます。「生活のために働く」、これがもともとの仕事の位置づけです。それが慌ただしい日常や仕事の忙しさに取り込まれてしまうと、「働くために生きている」状態になっていないでしょうか。
そんな自覚があればちょっと立ち止まって、どこか壊れかけたところがないか点検する必要があるかもしれません。基準とするのは人生をよりよく生きるうえでの「価値観」です。

<人生をよりよく生きるために必要なこと>
経済的な安定という”お金”の問題の他に、”健康”は幸福の基本的な大前提です。

『健康』
 日本人の健康寿命の平均値は男性72歳、女性75歳です。平均寿命とは9~12年の差があります。(厚労省2018年発表)
仕事一筋に働いて65歳でリタイアした場合、健康寿命までは男性で7年、女性で10年しかありません。「人生の残り時間」と「月給」はトレードオフの関係です。リタイア後の限りある時間についても気に留めておいた方がよさそうです。

『家族・友人と過ごす時間』
 半径3mの生活圏の中で接する良好な人間関係は体感的な幸福感にとって重要なポイントです。
親子、夫婦、友人など、気心が知れた間柄で雑談や冗談を言い合える関係性はたいせつです。

『社会的受容』
 自分がこの社会に受け入れられていると感じられることです。
同僚のために役立っている、社会的に意義のある仕事をしている、少しでも社会の役に立っているなど、社会に必要とされいると実感できることです。

 在宅勤務や働き方改革を持ち出すまでもなく、現代は収入を得るためのバリエーションが増えました。現代はまさに社会が大きく変動する渦中にあると認識しています。
 高度成長期をベースにした「就社」とも揶揄されるメンバーシップ型雇用ですが、低成長時代のいまでは企業にそんな余力もなくなりつつあり、”仕事内容に応じた給与”というジョブ型に移行しつつあります。
さっさとジョブ型に移行して人件費を抑えつつ優秀な社員を集めたい企業側の思惑と、「終身雇用」の幻想から抜け出せない社員とのあいだには溝があるように思います。こうした社会の変化は50代のサラリーマンにとって、退職金制度の突然の見直しという形で降りかかってくるかもしれません。もうすぐ退職金が満額に、と期待していたところにです。早期退職はこうしたリスクの回避にもなります。

また、そもそもいまの仕事が、単身赴任で家族と離れていたり、やりがいを感じられなかったり、健康に悪影響を与えているのなら、経済的な条件さえクリアできれば転職も選択肢の中にはいるでしょう。定年に近い年齢なら早期退職してセミリタイアも可能かもしれません。

「人生をよりよく生きる」、つまり「幸せになるためには」という3つの要素を挙げましたが、これに大脳生理学からの興味深いアプローチをした本を見つけました。樺沢紫苑著『精神科医が見つけた3つの幸福 ー最新科学から最高の人生をつくる方法-』を紹介します。
幸せを感じる脳内物質は、「セロトニン」、「オキシトシン」、「ドーパミン」の3つです。
しかもこれには優先順位があります。

1)まずは最も基盤となる、心と体の健康による幸せ「セロトニン的幸福」
「清々しい」「癒やされる」「リラックスする」「ホッとする」「安心、やすらぎ」こうした状態のときに分泌されているのがセロトニンです。欠乏すると鬱になると云われる脳内物質ですね。
            
2)次に、人とのつながりがもたらす幸せ「オキシトシン的幸福」
これには相手が必要です。誰かと一緒にいて「楽しい」「うれしい」「安らぐ」といった安定した人間関係によって生まれるプラスの感情はオキシトシンが関わっています。愛情ホルモンとも云われます。
            
3)そして最後に、成功の高揚による幸せ「ドーパミン的幸福」を挙げます。ドーパミンは脳を興奮させるので高揚感が伴います。「喜び」「達成感」「楽しさ」で表現されますが、それはドーパミン的幸福が「何かを得る、達成した喜び」で得られることを示します。その一方でお酒、薬物、ギャンブル、買い物、ゲーム、スマホといった手軽に手に入るものにドはまりすると「依存症」を引きおこす脳内物質でもあります。

若いときには「もっとお金得る、自動車・家など高額な買い物」などこのドーパミン的幸福を追求しがちでした。しかし、この優先順位を間違ったり配分が極端になると、人とのつながりが希薄になったり、心と体の健康を損なう、といった幸せとは真逆の方向へ進みかねません。

上の図では土台の「健康」が「セロトニン的幸福」に当たります。「経済(お金)」を「家族・友人/社会的受容」といった「オキシトシン的幸福」の下に置きました。「経済(お金)」は最低限生活していける程度のお金という意味あいです。
「お金をたくさん使って得られる幸福感」は、「経済的な自由」とはトレードオフの関係にあります。(セミ)リタイアした状態では、「お金をあまり使わないことが安全」であることはいうまでもありません。それでも成功感や達成感といったドーパミン的幸福を得たかったら、資格試験にチャレンジするなどはどうでしょうか。お金もさほど掛からず、合格したときの快感は苦労や困難が大きかったほど比例して、ドーパミンがドッカーンと脳内を駆け巡ります。
いずれにしてもドーパミンという快楽物質は一過性のものであり、脳内で長くはもちません。


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