『人生にお金はいくら必要か』

人生にお金はいくら必要か 収入と支出
山崎元著

『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』などのわかり易い経済書を著した山崎元(+岩城みずほ)の書籍を紹介します。
以前、「老後に2000万円必要だ」と年金不足を煽る騒動が報じられましたが、本書はそれに異を唱えます。
2000万円という数字は、報告書のなかで家計調査をもとに「高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている」から出した金額です。これに対して著者は2000万円必要かどうかは人による、といいます。野党やマスコミは年金が破綻していると大騒ぎしましたが、人それぞれで事情が違いますから著者の指摘は当然のことです。
では、どうするか?著者は人それぞれで異なる必要資金を資産する方式を提案しています。

人生設計の基本方式

これをエクセルに変換すると、

人生設計の基本方式 数字はP.56の佐藤さんの例

ご自分でセル位置を合わせて作ってみてください。関数は次のものをコピペすると簡単にできます。
C9セル  =(D6*D7-D5-(D2/D4))/((D3/D4+D6)*D7)
D9セル  =IF(C9<0.1,”超優良”,IF(C9<0.2,”健全”,IF(C9<0.3,”要努力”,”危険!”)))
C9セルで必要貯蓄率が算出されます。セルの書式設定を%にして小数点以下を調整してください。
D9セルでは3段階の判定がでます。10%未満は”超優良”、10~20%未満は”健全だが油断は禁物”、20%以上は”危険、今すぐ家計の見直しが必要”です。
これはサラリーマン現役世代用ですが、つぎに老後設計の基本方式も提示しています。

老後設計の基本方式

同じくこれをエクセルに変換すると、

老後設計の基本方式   数字はP.132 「59歳男性の老後設計の基本方式」より

C22セルには  =(D14-D15*D16+D17*D18-D19)/D20
C24セルは   =D15+C22
C25セルは   =C24/12
退職金を含む預貯金、投資額などが保有資産額です。年金は日本年金機構の”ねんきんネット”で分かります。退職後に働く場合の収入や年数、最終資産額は亡くなったあとに残しておきたい葬儀代などでしょう。想定余命年数は悩むところです。政府の人口統計資料(2021)で、2019年時点の平均寿命は男81.4歳、女87.5歳です。予測値として2040年では男83.3歳、女89.6歳、2065年では男84.9歳、女91.4歳と2019年から46年後の平均寿命は思ったほど延びていません。
しかし、あくまで平均ですから100歳以上になっても長生きする日本人がこの先も増え続けそうです。
ボケずに健康に生きていかないと、長生きリスクは深刻な問題となりかねません。
ちなみに、政府の調査で健康寿命は男72歳、女76歳です。限られた人生を悔いなく、日々を大切に生きないともったいないですね。


上記の計算式は、実は書籍の最後にQRコードがあって、そこからWebサイト上で試算できるようになっています。試しにやってみて気に入ったら、ご自分でエクセルシートに作成し、数字をいろいろ入れ替えてシミュレーションしてみるのがよいと思います。
https://www.officebenefit.com/calculate/index.html

資産を増やす著者からのアドバイス

著者は公的年金は破綻しないといいます。それをもとにしたアドバイスです。(P.25)
(1) 年金保険料を払って、それが条件でもあるIDECOなどを積極的に利用する方が「得」だ。
(2) 将来の年金額を計算に入れて計画的に生活設計を考えるべきだ。
(3) 公的年金は終身支給されるので、「長生きのリスク」への保険として有効活用したい。
税制上優遇されるニーサやIDECOなどは上限金額までしっかり利用します。退職して国民年金になると1号保険者としてIDECOの月額枠が68,000円と増えますが、これも全て使います。私の場合は付加年金400円を追加するので、その分は1000円単位で減額されすので、IDECOの月額は67,000円が上限となります。国民年金も64歳まで収めて40年満額となるので、満額まで払うつもりです。

山崎元さんの投資指南ですが、まず投資につきもののリスクについて触れます。
リスク資産:1年後に最悪で3分の1損をする可能性があるが、それと同じくらいの可能性で4割儲かることがあり得て、平均的に年率5%くらいのリターンが期待できるもの。

そしてこのリスク資産としては、次のものを決め打ちします。
6割を「外国株式のインデックスファンド」、4割を「国内株式のインデックスファンド」
「外国株式のインデックスファンド」
MSCIコクサイ(日本を除く先進22カ国の株式から計算)、MSCI-WORLD(日本も含む先進国23カ国)、MSCI-ACWI(さらに新興国の株式も含む46カ国の株式による)に連動するもの。このほかにもFTという別の指数ベンダーも広く使われておりどちらでもかまいません。

「国内株式のインデックスファンド」
東証株価指数(TOPICS)に連動するETF

「個人向けけ国債変動金利型10年満期」
著者が勧める金融商品にはリスク資産としてのインデックスファンドの他に安全資産としてこの国債を推します。
最大の長所は「安全」です。銀行が倒産した場合預金保護は「ひとり、1行、1000万円」までの元本と利息が保証されますが、それ以上の額には倒産リスクが否定できません。次に金利が固定されると、将来インフレになった場合には実質元本割れしてしまいます。しかし変動型なので日銀が目指す2%程度のインフレが実現すると金利も上昇する可能性があります。ゼロ金利でも最低利回りは0.05%と銀行より有利、といいます。
たしかに国債は元本も保証されるし、変動金利ならインフレの度合いに応じて金利も上がるから実質的に元本割れもしないでしょう。『お金か人生か』のヴィッキー・ロビンも国債(アメリカ)を推奨していました。
たしかに安全だけど国債の金利は低くて魅力的に思えません。じゃあアメリカ国債かと思ったら、著者は「外国債券は要らない」と切り捨てます。それは為替リスクがあること、日本の国債よりリターンが高くない割りの悪い投資とさえいいます。
どんな種類の金融商品に投資するのかという投資バランスは、自分の年齢を考慮にいれた、受容可能なリスクをどれくらい見積もるかでひとそれぞれ違ってきます。ここが悩ましいところですね。


山崎元さんの著作はいろいろ出ていますが、基本的に言っていることはいま挙げたことです。
どれかひとつの書籍は手に取ってみる価値はあります。

投資バランスをどうするか?

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