『お金か 人生か』~FIREについてのバイブルを読み解く~

お金か人生か 早期退職
FIREはこの本から生まれた
Your Money or Your Life

FIRE(Financial Independence Retire Early:経済的な自立をして早期退職すること)の元祖、バイブルが本書です。1992年にアメリカで刊行されるやFIREムーブメントを呼び、それまでの消費行動に変化を起こし、それが今ではサステナブルフューチャー、SDGs、シェアリングエコノミーなど言葉を代えて世界中に広がっています。

私が早期退職を目指したのもFIREの情報に触れたことが切っ掛けでした。ネットで見つけた記事では支出を抑えて収入のできるだけ多くをインデックスファンドに投資し、それが4%の複利で増えていき1億円くらいになればその利子だけで元本を崩さずに生活できる、といったもので、ネット検索してもおおむね同じような記事ばかりが出てきます。

本書を読んでそれはFIREの一部であることがわかりました。
・「私たちの多くはあくせく働いて墓場を建てている」
・「お金とはあなたが自分の生命エネルギーを差し出して手に入れたもの」
・「生活水準よりも生活の質を優先する」
・「地球に対して借金していことに気づいていない」
など胸に刺さる言葉があちこちにありました。

今の仕事で十分な報酬を得ており、同僚上司にも恵まれ、社会的にも意義のある仕事に携わり、毎朝ワクワクしながら会社へ向かう、そんな人はそもそもFIREに触れるきっかけもないでしょう。
しかし、月々の住宅ローンの支払いに、子供の教育費などなど、たとえ疲れが溜まってもストレスで体調を崩しても今の収入を手放すなんてリスクが高すぎる!そもそも投資に回す1億円なんて貯まるワケがない、そういう反応が普通だと思います。

しかし、本書はお金に対して持っている先入観、既成概念を再構築します。限られた人生の時間とトレードオフの関係にあるお金をどうやってマネージしていくのか、具体的なプログラムを提示します。
こうしたアメリカ製のプログラムは、簡単、明瞭、合理的、再現可能な実によくできたものです。その過程で、お金についての再定義がなされ、お金との関わり方が根本から変わってきます。

経済書というよりも人生について論じた書、【お金か 人生か】

それでは内容を見ていきましょう。
イントロダクション、第1章は、まずこのプログラムやり抜くためのモチベーションを高めることにあります。
『やりがいがあって面白く、余裕があって楽しめて、友情を育める環境にあり、生産性を維持するためのひとりの時間と仕事を終えられる十分な時間、そしてリフレッシュできる十分な余暇が与えられ、必要とされていると感じる十分な貢献ができ、面白おかしい経験も出来て、毎月の請求書を払える十分な給与もらえる』 良い職業・仕事について漠然としたイメージはだれしも抱いていますが、これぞ”完璧な仕事”です。

現実の仕事は、『9時5時の(もしくはもっと長い)仕事のあいだ、上司に対応し、悪魔が送り込んだ神経を逆なでする同僚に対応し、仕入れ先に対応し、クライアントに対応します』。どこの職場にもいそうな、自分にとって”悪魔が送り込んだ”としか思えないような人間と関わるのは苦痛ですね。稼いだ給料は会社からの慰謝料と思えば、散財も必要経費と思えてきます。ただ、こうした犠牲を払いながらの仕事は『暮らしではなく、墓場を建てている』と指摘されます。

第1章では、『多いほど豊かなのか』と問いかけます。
『多いほど豊かである場合、いま持っているものでは十分ではありません。・・・ようやく手に入れた多くのものでも十分ではない』こうしたmore more more… という姿勢では欲望を満たすことはけっしてできません。そこで欠乏でもなく、さらなる欲望を煽る多さでもない、ほどほどの『十分』、一般的な指標ではなくあくまで自分にとっての『十分』がどこにあるのかを考えさせます。
p.53の表1-2 満足度曲線には、縦軸に満足度、横軸に支出額をとり逆U字の曲線を描いています。ピークポイントが『十分』です。曲線の最後、右端には「安らかに眠る」と墓のイラスト付きです。

そしてプログラムがいよいよ始まります。
ステップ1 過去に折り合いをつける
 (A)これまでにいくら稼いだ?
初任給から直近の給与までを把握することで、お金を稼ぐ能力に関して明確な理解と自信を持てる。
 (B)資産と負債からなる個人の貸借対照表を作成し、純資産を把握する。
結局、手元に残ったいまの資産は?
ここで、お金とはなにかを問います。『お金とは、あなたが自分の生命エネルギーを差し出して手にいれたもの』、つまり時間を売ってお金を手に入れるわけです。本来意味や価値があるのは時間の方では?と問いかけます。

P.58では『お金のゲームとしての側面を理解することで、お金を使ってゲームをプレイするときと、ほかの通貨~愛、スキル、知識、手作りのもの~を使ってプレイするときを意識的に選択できるようになる』といいます。
P.97で、『経済的な自立は心の安らぎと経済的な至福をもたらす』とありますが、まさにそのとおりでしょう。

ステップ2 現状把握 ~生命エネルギーの使い道を調べる~
 (A)仕事をするために必要な時間とお金、両面でのコストを計算し、実質時給を計算する。
税引き前の基本給から、通勤の追加コスト、仕事着など仕事に掛かる経費を差し引きます。通勤時間、日々のストレス解消の時間などを加味した仕事に費やす時間を合計して割った金額、それが実質時給になります。
 (B)あなたの収入と支出を1円単位で逐一把握する。
 (*原文は1セントですが、このブログではすべて日本でのことに読み代えています。)
P.119 実際のお金の出入りの仕方が自分の想定とどれだけ違うのかを痛感します。

ステップ3 毎月の支出表をつくる
ここでのポイントは自分なりのユニークなカテゴリーを作ることで、支出を分類することが大切です。
ステップ2で計算した実質時給を使ってそれぞれのカテゴリで使った金額を生命エネルギー(時間)に換算しましょう。
充実した人生を送るには、「自分にとってよい人生とは何かという具体的な夢」を目的とする意志を持つ必要があります。

ステップ4 あなたの人生を根本から変える3つの質問
質問1)『差し出した生命エネルギーに見合う充実感、満足感、価値を得ましたか?』
質問2)『その生命エネルギーの使い方は自分の価値観や人生の目的と調和していますか?』
質問3)『もしお金のために働く必要がなくなったとき、このお金の使い方はどう変わりますか?』
P.86にはこのプログラムを自分の価値観や目的を明確にするプロセスと定義しています。

ステップ5 生命エネルギーを可視化する
この第5章までは消費文化が極端な米国人向けのプログラムのように思います。
収入と支出を毎月1円単位で明確に計算して、それを大きな紙に折れ線グラフとしてプロットしていきますが、目に付く場所に貼るウォールチャートと本書では呼んでいます。

節約もできて基本的な生活費は無駄のないものだという自信があれば、エクセルで月初と月末の差から支出を割り出すことでもよさそうな気がします。
*著者はエクセルではなく手書きグラフを推奨しています。
ただ、第5章までの228ページまではこのプログラムの手順だけでなく、『お金の使い方に対して意識を高く保つことで自分の生命エネルギーを大切にすること』を認識させる意図がありますので、読み飛ばすのはもったいないです。

労働時間は生命エネルギーに換算される

第6章 少額の資本でアメリカンドリームを
ここからはそれまでの収支を把握するためのプログラムから、いよいよお金の増やし方についての記述になります。
その前に、コンマリ(近藤麻理恵、ときめきの片付けメソッドでNetflixの人気番組を持つ、世界に影響を与える女性100人にも選ばれた)のテクニックは概ねモノに焦点を当てており、時間やお金、充足感といったより深い問題には立ち入っていないと釘を刺します。
ソクラテス・プラトンが説く「中庸」や、旧約聖書の「人は神と富とに同時に仕えることは出来ない」を引き、精神的な生活を豊かにするうえで、物質的に簡素な生活を送る価値を称えます。
これにはまったく同感です。禅宗でいう「知足」、足るを知るということは本書でいう『十分』とつながります。この知足(enoughness)に加えて,倹約(frugal)とキーワードを出して、『まっとうな価値を得る美徳を楽しむ』と解説します。『手にしているもの楽しむ』ともいいます。
P.252には朝食のオレンジを搾ってジュースにするところでは、絞るところ、オレンジの匂いを嗅ぎ、感触を確かめ、口にもっていった果汁を味わうなど、禅宗での食事の食べ方、作り方との共通点が見えます。マインドフルネスというかたちで欧米に受け入れられる禅宗のコンセプトは、このままでは個人も地球も消費優先のシステムによって破綻しかねないという危機感が底流にあるのではないでしょうか。本書のあちこちに禅宗、仏教のコンセプトが見えるのが興味深いです。

ステップ6 生命エネルギーを大切にする -支出の最小化-
生活水準を気にするよりも、生活の質を優先することを説きます。
具体的に10の例が示され、
1)買い物に行かない
2)収入の範囲内でやりくりする
3)いま手にしているものを大切に扱う
4)使い切る
5)DIY
6)必要なものを先回りして予測する(ついでの衝動買い対策)、
7)価値、質、耐久性、用途、価値を調べる(家電を価格COMで吟味するなど)、
8)安く買う(工夫や少しの努力が要ります。)、
9)欲求を違う方法で満たす(足下に転がっている、小さな日々の楽しさをきちんと拾い上げること)、
10)本書のプログラムの9つのステップに従う
これらを創造的倹約とし、『ブッダは欲望こそがあらゆる苦悩の原因であると説いた』といいます。(P.283)

第7章 好きだから?お金が欲しいから? -生命エネルギーを大切にする-
お金とは生命エネルギーです。生命エネルギーはここでは「時間」に置き換えています。
P.301 『おそらく雇われ仕事の問題は、刺激、他者からの認識、成長、社会貢献、交流意義を求める欲求がその仕事によって満たされないことにあります』と明確に指摘します。
そこで、仕事の再定義には選択肢を増やすとし、その再定義をすることで自分の内面を軸にして働くことができ、賃金労働者ではなく自らのライフデザイナーになれる、とします。
稼ぐための仕事を辞めることができたらリタイア後の人生が生き生きする、とモチベーションを上げ、仕事を賃金から切り離すことで、あなたはあらゆる役割、タスク、活動において、価値ある人間になれます、と示唆します。
仕事の再定義は仕事と遊びの垣根をなくすことであり、正しい生計の手段に新たな解釈が生まれる、とし、雇われ仕事の唯一本来の目的は、シンプルにお金を稼ぐこと、と割り切りを求めます。

ステップ7 生命エネルギーを大切にする -収入の最大化-
余分なお金はないものの、満足感を与えてくれるちょうどいい金額が「十分」なお金です
そのお金を稼ぐには生命エネルギー(時間)を使います。時間当たりの単価が高くなるような稼ぎ方の例が挙げられています。アメリカ社会での例なので、日本では時給の高い仕事、通勤時間の短いところ、付加価値を付けて時間単価を上げるなどでしょうか。

ステップ8 資本とクロスオーバーポイント
ウォールチャートに毎月収入と支出をプロットしてきましたが、プラスになった収支を投資に回します。月々回した投資は複利で増えていきます。それを3本目の線としてプロットしていきますが、『投資収入ラインが支出ラインを突き抜けたとき、あなたは経済的自立の領域に足を踏み入れる』ことになります。4%の金利をベースにすると年間支出25倍の資本を築いたときにクロスオーバーポイントに達するわけです。
このあたりはFIREをネットで検索したときによく目にするところです。
25倍の資本というのは収入の25倍ではなく、支出の25倍です。25倍の資本が生み出す4%の金利を支出に充てれば元本は減らない、ということです。ですから支出を減らせば目標額もそれだけ減らすことができます。

数千万円の貯蓄を数年という短期間で達成した例もネット記事やブログにもありますが、50代の早期退職者を想定するこのブログでは日本の実状に即したより現実的な作戦を別途紹介したいと思います。

この章でプログラム参加者はついにFireを達成しました。このあと、さらに理解を深めるキーワードがでてきます。
P.355 『キャッシュ(Cache)』
現金のキャッシュではありません。貯蔵物、隠匿場所といった意味です。
西部開拓時代に旅人が重すぎて運べないため、あとで使えるよう食糧を埋めておく地面の穴、それがCacheです。
資本や急な出費用のクッション(資本を急な出費で想定外に減らさないための緩衝としての資産)、それ以外の貯蓄のことです。つまり、生活費以外の余剰資金を全部投資に回すことは勧められていません。人生は不確実の連続です。たいてい悪いことは重なるもので、経済運営の面でも最悪の事態は一度にやってくる思っていた方がよいでしょう。そのために換金性のある資産にも分散しておく、という意味です。

P.357 『自然の豊かさと経済的自立』
お金は政府が発行し、市場経済といった他人がコントロールするもので、自分ではどうもできません。
一方で、『自然の通貨』と著者が定義するのは、家族や仲間(そして生きとし生けるもの)同士のつきることのないギブアンドテイクです。これには図書館などの公共サービス、シェアリングエコノミー、ヤフオクやメルカリといった個人間取引市場なども含まれます。

P.359 『自然の富のABC』
A) Ability (能力):人に頼らず自分でやるスキル。機械や家の修理、料理など。
しかも、Abilityを身につけると、ものによっては必要なときにもう一度お金を稼ぐことができるリスクに対するレバレッジとなり、自由な選択肢が増えます。自分の得意分野、好きなことをさらに追求していくのがよいでしょう。
B) Belonging(近しい人):家族や友人など、あなたと供に人生を歩む人
C) Community(コミュニティ):あなたが住む社会-近所、都市、環境と自然
『これらは、お金の稼ぎ方、使い方、貯め方を人生の目的や価値観と調和させようとした場合、あなたは本能的にこれら3つの富を築き上げることになります。』

辞めたあとどうするの?

P.368 クロスオーバーポイントでの戸惑い
『この自由な時間を使って何をすればいいのか分からないんです』こういうプログラム参加者のとまどいに具体例を示して答えます。
たしかに、私が会社を辞めると人に話したときに必ず聞かれることです。「辞めたあとどうするの?」
投資収入ラインが支出を超えているわけではなく、そんな私がFIREを口にするのもおこがましいのですが、私の戦略は65歳からの年金を当てにしています。50代のはじめからその月額の範囲内に支出を抑える生活をめざしました。もちろん会社勤めで余分に支払うコスト(単身赴任の自腹の持ち出し費用など出社するためのコスト)を差し引いて、リタイアした後の日常生活の支出を前提にしたものです。

その基礎的な月額支出をリタイアから65歳までのあいだ、最悪ずっと無収入であっても退職金に手を付けずにいられるだけのお金が貯まったときが早期退職の潮時と設定しました。
この貯蓄は籠城戦で援軍(年金)がやってくるまでの兵粮米、ということです。

そして早期退職して自由な時間を会社から取り戻したいま、なにをすればいいのか、これが重要な課題になりました。なにかになりたい、なにかを成し遂げたいという強い思いがあるわけではありません。
本書では、次のように答えます。『そうした自由への適応の仕方についての情報やアドバイスはかつてないほど充実しています。FIer(FIREを達成した人)のブログや掲示板』などからのアドバイスが紹介されます。
『多くの人は後回しにしていた個人的な問題や健康上の問題に目を向け始めます。… 長い間、あなたが気にかけてくれることを待っていた問題です。 … あなたが心身ともに健康になりつつあるということです。… 身体にはケアが必要です。それ自体がまさに冒険になりうるのです。』
具体的に何かになりたい、という大上段に振りかぶった目標はどうやら不要のようです。『あなたは楽器や絵画、聖歌隊での合唱、タップダンス、魚釣りを始めるかもしれません。もしくはアルティメットフリスビーのチームに入る、コミュニティ劇場にはまる、協議会をとび回る、マルチプレイヤーのオンラインゲームに夢中になる、シェイプアップする、瞑想する、高齢者や身体の不自由な人に食事を届ける可能性だってあります。』とします。自分の好きなように自由に働くもよし、楽しみのために働いて、誰かに恩返しするために働いても、インスピレーションに従って働いても、向上心のために働いても、自己変革のために働いても、何を目的に働いてもかまいません。』とお墨付きをくれます。

単発や週に3日ほどのアルバイトを希望しています。お仕事サイトから毎日何通もやってくるメールのなかからおもしろそうなものを選んで応募しているところです。
プラモデル作成のアルバイト(作例の写真を出して2次面接待ち。これはダメっぽい)、資格試験などの試験監督・会場係(やってみたら友達もできるし、チームワークの楽しさもあり、無事にやり遂げた達成感もありました。)、大学のキャリアカウンセラーに応募する(面接に行ったら、事務仕事ではなく資格試験の講師の仕事をオファーしてもらいました)など、仕事は社会との繋がりでもあるので気になる仕事を選んだ上でトライしています。

気になっていたけどこれまで後回しにしていた家の手入れや大掃除も、禅寺の修行のひとつ「作務」と思えば苦にもならず、運動にもなります。さらに、ある禅センターで用意している3日間ほどの禅寺体験に興味があり、生活そのものが修行である禅宗の体験をしようと思っています。

gaccoという大学の講座をネットで受講できるサイトを発見しました。レポートも提出してオフラインで受講者とディスカッションするなど、大学時代のゼミと同じです。しかもこれが無料。
気になるテーマを学びたいと思います。
臨済宗の大学、花園大学の聴講生も考えています。費用的にも数万円で学ぶことができるし、お坊さんと友達になるチャンスがあるかもしれません。

漠然としたやりたいことですが、葬式仏教を中心に今後衰退していくお寺さんを、絶滅から救うなんらかの助けになれないかと思っています。仏教は本来、人生の苦しみと向き合い、それを和らげるための思想体系です。それならカウンセリングなど、現代社会をいま生きている人のために仏教思想が役立つのではないかと考えています。

ステップ9 経済的自立に達した後の投資
この点に言及したネット上の情報はほとんどありません。有り金をインデックスファンドに投資、というのが大半です。私もそう思っていました。
クロスオーバーポイントに達するまではリスクよりも増やすことに主眼が置かれていましたが、その後はできるだけリスクを低減させる金融商品を選ぶことが記されています。
自分がどこまでリスクを取れるのか、それがリスク耐性です。具体的な問いは『もう一度、働かなければならないのでは?と不安になって、夜も眠れなくなる損失はいくらですか?』というものです。
リスク耐性は、年齢、性格、仕事のスキルの汎用性、人生経験、金融全般に対する心構えに左右されます。
50代の早期退職者にとっては、年金受給までのあいだの生活費分を除いたお金が投資に回せる資本です。確定拠出年金も証券口座もインデックスファンドがほとんどです。これまでどおり順調に株式市場が上り調子で、暴落してもコロナ後の急回復のようにいけばいいのですが、そんな保証は一切ありません。自分で運用方針を決める必要があります。

投資の基本原則は複数の資産に分散することです。「卵をひとつのかごに盛るな」という証券格言がありますね。
また、若ければ高いリターンを求めてリスクを取るべき(株式9割、債券1割)ですが、歳をとるにつれて元本を維持することを重視すべき(株式2割、債券8割)と具体的な割合もアドバイスします。
P.391には株式市場の過去5回の大暴落と下落後の回復期間が4ヶ月~27年!というデータを示しています。60歳を超えて虎の子の資産が暴落して回復までに27年もかかる事態に遭遇したら、もういちどお金のために働かざるをえなくなりますね。過去の株式下落相場でも債権ファンドはせいぜい数ポイント程度の下落で済んでいることから、債権の割合を増やすことを検討します。

また、株式、債権に限らず各国の国債など、さまざまな金融商品のなかから選ぶには経済の動向を読む必要がありそうです。
共著者のジョーの投資戦略は、つぎのようなものでした。
・元本を毀損しない
・利息が必ず支払われる
・非課税
・譲渡性や流動性が高く、世界中で売買できる(すぐに売買でき、手数料も安く、売買単価にも利便性がある)
・購入しやすい
・手数料が安い(仲介業者がおらず、運用管理手数料も販売手数料も不要)
・デュレーション(償還期間の選択肢が多い。)
・長期的な収入の安定性(賃貸用不動産などにつきものの不安定な収入の変動を避ける)

本書も1992年に初版が出たときには、長期米国債が推奨されていました。当時は6.5%を上回る金利だったからです。今では多くのFIerたちのブログで推奨するのはインデックスファンド一本です。

ネット記事で初めて知ったFIREですが、それはインデックス投資などの断片的な情報であったことが本書を読んで分かりました。FIREはお金を増やすための考え方というよりも、生きて行く上で切っても切れないお金の使い方を通じて、人生をどう生きるのかという指針を与えてくれます。
ところどころに顔を出す仏教の思想についても、ミレニアム世代が受け入れるFIREとマインドフルネスの親和性から納得できます。
早期退職者のためばかりでなく、今の仕事が気にいっている人や、それでも辞める訳にはいかないという人にとっても、「お金」を自分の中で定義しなおし、仕事を客観視することで、がぜん仕事が面白く思えたり、買い物といった消費行動に変化があらわるかもしれません。

本書をお薦めします。

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